東日本大震災復興支 チャリティコラム 

QDT Art&Practice 

このページはクインテッセンス出版QDTに掲載されております関係者によるリレーコラム「東日本大震災チャリティコラム(全9回連載予定)」を貼り付けてあります。


          第1回:志田 和浩

 

 2011年3月11日14時46分18秒宮城県牡鹿半島の東南東沖を震源とするマグニチュード9の東北地方太平洋沖地震が発生しました。この地震により、巨大な津波が発生し、東北地方と関東地方の太平洋沿岸部に壊滅的な被害が生じました。いわゆる東日本大震災です。未曾有の大震災に心を痛めた方も多かったと思います。

  そんな中、我々歯科技工界から一人の男が立ち上がりました。山本眞氏です。氏の声かけに多くの歯科技工士が賛同し駆けつけてくれました。そうして立ち上がったのが東日本大震災復興支援チャリティー講演会です。私と氏との出会いは国際デンタルラボテックスクールの時でした。『ザメタルセラミックス』という一冊の本に衝撃を受け感銘し、幸運にもその年、氏のライブデモを間近で体験する機会を得ました。その後、現在に至るまで、幾度となく氏とお会いする機会を得られたのは私の技工人生で大きな糧となり指針となったことは言うまでもありません。2012年1月の福岡講演を皮切りに名古屋、大坂、東京と全国4都市においての講演会と7つのハンズオンコースを開催し、延べ1497名の方々に参加して頂きました。全国よりお預かりした寄付金の総額28,181,574円。その全てを『まなべる基金』に寄付させていただいております。

  継続する事に意味がある。あれから4年が経過しました。支援活動が少なくなってきた今、山本眞氏、実行委員の総意でもあった、被災地、東北仙台にて2016年4月16,17日の2日間、東日本大震災復興支援チャリティー講演会を開催いたします。『絆』という大きなメインテーマのもと、歯科技工の未来を考えて行く、全く新しい会にしたいと思っています。素晴らしい演者と企画で皆様をお待ちしております。杜の都仙台でお会いしましょう。
- QDT Art&Practice 8月号 -


          第2回:関 錦二郎

 

  2012 年から開催されてきた東日本大震 災復興支援チャリティ講演会。現在、その 締めくくりとして行われる、2016 年4月 の東北・仙台での講演会に向けた準備が着々 と進んでいる。チャリティという趣旨はも ちろんだが、多くの方々の実際的な興味は そこでの演者や企画内容にもあるのではな いだろうか。

 先日、右のイラストにあるとおり演者名 のリストが発表された。これを見て、皆様 はどう感じただろうか?

 まず「誰一人と して登壇を断る者はいなかった!」という 事実に驚きを感じると同時に、さまざまな 分野、世代、そして国籍の歯科技工士たち がボランティアとして惜しみなく集結する ことに、東日本大震災からの復興にかける 歯科技工界全体の意思や強い結束を感じた のではないだろうか。当日の盛り上がりに 期待が膨らむばかりである。

 私自身も、実行委員そして演者として地 元東北のために尽力させていただく機会を 得ることとなったが、講演の企画内容を知 らされ驚かされた。なぜなら、この講演会 は2日間にわたってひとつの大きな会場に て行われるというのだ。つまり、これだけ の数の演者が集結しているにもかかわらず、 一人ひとりに与えられる講演時間は 20 ~ 30 分といったところなのである。これだ け聞くと、あまり深い内容の講演はできな いのではないか……と危惧されるところで あるが、企画についてよく聞いてみるとそ うでないことが理解できた。すなわち、本 講演は一般の講演にありがちな演者がスク リーンの前に立ってお話をするだけのものではなく、近年海外に多くみられる洗練さ れたショートプレゼン形式で、スライド中 心ではなく演者が演壇の中央に立ち、聴講 者の方を向いて濃縮された要点やメッセー ジ性をも色濃く伝えるリレー形式の講演会 になるというのである。まさに、繋がり、 結束するという「絆」で会場全体を包み込む企画だと確信できた。私自身も、演者の ひとりとして皆様に何かひとつでも伝える ことができるよう、私がもっとも伝えるべ き事を 20 分のブレゼンテーションに濃縮 し、出し切れるよう臨むとともに、このチャ リティ講演会を通じて皆様と素晴らしい時 間を共有したいと考えている。
- QDT Art&Practice 9月号 -


                                     第3回:小田中 康裕

 

 企画段階で 33 名の演者に講演要請を行ったところ、登 壇を断る者はだれひとりいませんでした。実行委員として これは予想外で、驚き、喜び、本当に感動した出来事でした。当日はメッセージ性の高い講演会とするため、各演者に は 20 分弱での講演をお願いし、自分の講演終了後に次の 演者のプロフィールを 1 分程度で紹介していただく予定で す。講演時間が 20 分といいますと、講演する側も聞く側 も短いと感じると思いますが、聴く側としては、すべての 演者がそうとは言いませんが、60 分ほどの講演時間では 場をもたせられないので、いろいろな内容を盛り込んで時 間を稼いでいるような講演もよく見かけます。われわれは この点に着目し、「本当に重要な講演内容というのは、20 分の枠があれば十分足りるのではないか?」という疑問を もちました。そして、ちょうどこの企画の段階で「TED(テ ド)」というプレゼンテーションのスタイルに出会い、こ の企画が具体化してきたのであります。そこで、皆さんにはぜひ「TED」とは何かを見ていただ きたいと思います(TED で検索しますと簡単に見つけら れます)。たとえば、高橋晋平氏による「新しいアイデアの つ く り 方 」は6分弱の講演ですが、 彼の話の内容はわれわれに十分伝わり、その内容がいかに 興味深く、いかにわれわれの心をとらえるかを知ることで しょう。また他の講演は 20 分ほどですが、この 20 分が意外と長い時間に感じられることでしょうし、こ の 20 分間でいかに多くのことが伝えられるのかを知る でしょう。 われわれは、まさしくここを目指した講演会を企 画したいと考えているのであります。私は最近、このチャリティ企画のこともあり、ここを意識しな がらこの ショートレクチャー方式での講演を実験的に始めてみました。 今までの講演はスライド写真に対して話すという作業でし たが、今度はストーリーに対してスライドを追いかけさせ るという形式に変更したのです。すると、今まで 60 分 で話していた講演内容が、なんと 30 分前後で終わって しまうという事態になってしまいました。これは、時間は 短くなったけれども、時間単位にしたら逆に講演内容が濃 くなったといえるのではないでしょうか!? この結果か ら、私はこれまでいかに整理されていない講演を行い、無 駄な時間を費やしてきたかということを思い知らされ、講 演の仕方を考えるきっかけになっています。ここからさら に講演内容を整理すれば、20 分で講演することは簡単だ と思います。これまで、自分の言いたいことを伝える、あ るいは他者の言いたいことを聴くために 20 分という時間 は短すぎて無謀と思ってきましたが、今では反対に 20 分 のストーリーを話し続けることの難しさを感じています。そこで、演者には 仕事に対する情熱を思う存分、惜しみな く「1つのテーマ」だけに絞って語っていただきたいと思ってお ります。あとは、皆さんがこの講演会の証人になっていただきたいのです。参加者 が増えれば増えただけ、成功に繋がります。さらに今回は、 海外(現在3ヵ国)からツアーを組んでの参加要望も聞こ えております。

 また、今回は若手の演者発表枠も設けコンテストを行う予定です。これは日本を5ブロックに別けて各ブロックⅠ名ずつ計5名の選出を行い当日発表していただく企画であり、是非この企画に参加して33名の演者の後に我々の未来に向かって繋がって欲しいとも考えております。仙台大会では多少実験的な意味も含めた企 画になっているのは、義援金はもちろんですが、震災地域が元気になって欲しい、日本の歯科技工界が元気になって欲しい、という主旨から来ています。

 なお今回は、2日間の講演会ということもあり、土曜日 の講演が終わった後に演者33名を含めた懇親会を企画しており、このような事は滅多にない機会だと思っております。恒例のオークションはこの懇親会の中で企画しており、演者ゆかりの逸品のオークションを用意していただく予定であり今までのオークションの経験を生かし内容の濃いオークションを考えております。懇親会まで含めた参加を実行委員一同、ぜひお待ち しております。もう、私は講演会をイメージするだけでワ クワクしております。このワクワク感が皆さんにも伝わりましたか!?

- QDT Art&Practice 10月号 -


第4回:袴田 勝彦

 

 

 2016 年 4 月 16、17 日。日本の歯科技 工士たちがひとつになり、技工界の歴史に残る ような講演会が仙台で行われます。震災を経て、 これだけ大きな講演会が行われることは地元の われわれにとっても大きな活力になりますし、 たいへん嬉しく思っております。

 今回は、業界初となる「TED 方式」(編集部注: 前号の本欄参照)による講演が企画され、内容 の濃い講演が切れ目なく続く情熱あふれるプロ グラムになっておりますので、ぜひともこの新 しい講演スタイルに注目していただきたいと思 います。さらに、講演会に先立つ4月 14、15 日には Willi Geller 先生の実習コースも行われ ます。こちらも異例の定員 50 名という規模で、 現在企画が進められております。私は前回の東 京チャリティ講演会で行われた Geller 氏のコー スを受講し、実際に患者さんの口腔内に補綴物 を試適した際の驚きと感動をいまだに忘れるこ とができません。何よりも、Geller 氏の技工に 対する情熱を直に感じることができました。こ ちらにもぜひご参加いただき、肌で感じてほし いと思います。

 なお、4 月 16 日の講演終了後には懇親会を行う計画をしております。懇親会の会場では、過去のチャリティ講演会でもつねに盛り上がり、注目されてきたオークションを今回も企画しており、多くの演者から出品いただく予定です。

 先日、実行委員で会場の視察を行い、ホールやホテルのスタッフとの入念な打ち合わせがなされました。また仙台市内を歩き、立地条件の確認や技工学校へのご挨拶、関係業者との打ち合わせなど、当日の講演会および実習会をイメージしながらの視察も行い、今から胸が高鳴るばかりです。今回のチャリティ講演会の収益金は、被災された高校生の将来を見据えた育英奨学金として復興支援財団の『まなべる基金』に全額寄付する予定です。講演会に関しては、被害に遭われた方を無料でお招きしようという意見もあり、われわれもたいへん悩んだところでもあ ります。今回のチャリティ講演会は、歯科技工 界の未来への想い、東北の復興への想いがふん だんに詰まった大会にするとの思いを込め、一 人でも多くの方に東北の地に足をお運びいただ き、東北を元気づけていただきたいと考えてお ります。それこそが最大の復興に繋がると確信しております。実行委員一同、万全の準備を整 えて杜の都仙台で皆様をお待ちしております。

 最後にひとつだけ皆さんにお願いですが、震 災以降、仙台ではホテルの予約がたいへん取り にくい状況になっておりますので、参加される 皆様はどうぞいち早くホテルのご予約をお願い いたします。 

- QDT Art&Practice 11月号 -


第5回:増田 長次郎

 

  2016 年4月、東日本大震災復興支援チャリ ティ講演会・仙台大会が開催されるころには、 震災から5年の歳月が流れています。先日仙台 を訪れたときに私が目にした風景は、かなり整 理されており復興も進んでいるかのように見え ました。しかし、原発問題も含め、まだ生まれ育っ た故郷に帰れない人、職を失った人、家族や友 人を失った計り知れない苦境にいまなお苦しん でいる人は多く、さらに被害が広範囲であるこ とから復興にはまだ多くの時間が必要だと思う し、そんな話もよく聞きます。

 私の住む近畿圏、その中でもとくに兵庫県は、 阪神淡路大震災を経験しました。私が開業して 半年後のことでした。当時も見た目の復興は比 較的早く進みましたが、未だに心の傷が癒えきっ ていない人々が多くいることを私たちは忘れて はいけません。

 ただ、前を向いて行かなければならないのも たしかです。本チャリティ講演会はこれまでに 福岡・大阪・名古屋・東京と4回の開催を重ね、 多くの義援金を集め、お互いの絆も深めました。 そして今後は、また違う視点から業界の構図を 考えた上でも次の世代を担う若手歯科技工士に タスキをつながなくてはなりません。そこで、 いったんの仕上げ講演会となる 2016 年仙台 大会においては、各地域から選抜された選りす ぐりの優秀な歯科技工士に、国内外の招待演者(交通費も含め、全員が完全無償)と同列な講演 方式で登壇していただきます。地域ごとの応援 合戦が繰り広げられるかもしれません。選考の 方法は各支部によって異なりますが、広く公募 して選考発表会をするところ、選考委員による 自薦他薦、最後に壇上に登るのはいずれも熱い 思いをもった若者たちです。乞うご期待です。

 さて、今回私たち実行委員のほとんどは 50 歳前後です。私たちは、偉大な先人の先生方か ら多くのことを学び引き継いできました。技工 全般はもとより、歯牙形態、色調表現、咬合、インプラント、歯周など、そして何より働く姿 勢を若い世代に繋いでいかなければならない使 命があります。われわれ歯科技工士が、同じ職 種に携わる者としてタスキを繋いでいくことは、 今回のチャリティ講演会の本旨である強い絆を 作り上げていくことに相違ありません。それは、 仕事という枠にとどまらず人としての生きざまや、地域と世代の垣根を超えた交わりとして、 かけがえのないものになること間違いありませ ん。そして、今回の震災を風化させないために も仙台でともに集い勉強し杯を交わしましょう。 皆さんにお会いできることを心待ちに、楽しみ にしています。 

- QDT Art&Practice 12月号 -


第6回:山田 和伸

 

  『絆』と題し、歯科技工業界一丸となって稼働 しはじめた今回の東日本大震災復興支援チャリ ティ講演会・仙台大会。演者の方々のみならず、 実際に企画・運営を担う面々も言わずと知れた 業界の顔ばかりです。過去4都市においてリレー 開催された講演会および実習会では、企画する 側も受講する側も、そして演者として登壇する 方も「チャリティ」という言葉の意味を十分に 理解して参加されたと思います。また、惜しみ ない後方支援をしてくださった多くの企業もあ り、実行委員一同感謝しております。

 皆様からお預かりした寄付金は、すべて東日 本大震災復興支援財団が設立する「まなべる基 金 」(http://minnade-ganbaro.jp/) を 通 じ て被災した高校生を対象に奨学金の一部として 寄与されました。聞けば、28,181,574 円は ちょうど1クラスの高校生が卒業できる資金と なったということです。「まなべる資金」のサイ トをみていただくと、卒業自体を喜ぶのはもち ろん、自身のこれからの進路は社会のために人 のためになる職種を希望していることがわかり ます。ぜひ一度、アクセスしてみてください。 本当に熱いものが込み上げてくるはずです。仙 台大会に参加する本当の意義は「熱いものを共 有する」に尽きますが、加えて日本や海外で活 躍中の演者らのテクニックや考え方にふれるこ とにもあるでしょう。

 さて、本大会ではこれまでと違った発表形式 での講演が予定されています。これについては、 本誌9月号コラムで小田中氏が詳しく解説をし ています。また、過去の4会場で盛況だったチャ リティオークションは、2016 年4月 16 日(土)の講演会後に予定されているレセプション パーティ(会場:アークホテル仙台青葉通り) にて、メインイベントとして行われます。各演者、 また協賛者の作品や記念品など1点モノから高 額品まで出展されることが予想されます。日頃、 雑誌でしか見ることのできない作品や写真類など、また日々の技工作業に欲しかったものを手 に入れる、またとないチャンスです。この時だ けは、おサイフのひもを緩めて臨んでください。 当然ですが、オークションでの落札価額はその まま寄付金として計上されます。チャリティで すから損得勘定抜きで楽しんでください。東北・ 仙台の地でお会いできることを願っております。 そして参加する皆さんの想いをひとつに! 

- QDT Art&Practice 1月号 -


第7回:西村 好美

 

新年あけましておめでとうございます。 今年、4月 26 日に仙台で開催されます 東日本復興支援チャリティ講演会もいよい よ間近に迫ってきました。宮城県仙台市・ 東方沖 70km の太平洋の海底を震源とする 東日本大震災が発生してから5年の月日が 経ち、震災発生後の翌年から全国4カ所(福 岡・名古屋・大阪・東京)で開催された東 日本復興支援チャリティ講演会も被災地で の開催で締めくくりとなります。 今回の講演会では「技工の素晴らしさ」 をテーマに各技工分野の最先端でご活躍中 の先生がたをはじめ、若手の先生がたにも 演題はもちろんのこと内容を自由に発表し ていただける講演会となっております。ま た、この講演会では「TED(テッド)」と いう新しい講演形式を予定しており、私自 身、この講演形式は初めての経験となりま す。私が感じた技工の素晴らしさを 20 分 という持ち時間の中で、35 年の技工経験 をいかに簡潔に表現し、的確に皆様へお伝 えすることが出来るかどうかというプレッ シャーを演者として感じておりますが、と ても楽しみにしております。 昨今の歯科技工業界に目を向けた時、わ れわれは急速な変化にともない、日々多く の選択を要求されています。その部分にお いても、この講演を通じて「技工の素晴ら しさ」を改めて感じ、皆様自身の未来を見 つけるきっかけとなればと思います。 未来といえば、過去の東日本復興支援チャ リティ講演会の義援金は「公益財団法人東 日本大震災復興支援財団」を通じて、学生 に未来を届けることができました。建物や

ライフラインは普及し、見た目には復興が 進んでいるとはいえ、震災で甚大な被害に 遭った子どもたちが進学の道を断念したり、 学費を払うことが困難な状況にあるのでは ないかと思われます。復興支援は、子ども

たちの未来にも繋がります。出来るだけ多 くの方々にこの講演会に足を運んでいただ き、皆様と素晴らしい時間を共有し、絆を 深め、お互いの未来へ繋げることができれ ばと思います。 


第8回 片岡繁夫

 

「俺たち歯科技工士で復興支援のチャリティ講演会をやらへんか」......との山本 眞先生の呼びかけで歯科技工士の有志が集い、東日本大震災復興支援チャリティ講演会 実行委員会が結成された、2011 年5月。その後、 2012 年1月:福岡会場、3月:名古屋会場、7月: 大阪会場、9月:東京会場にて、「絆」をメインテー マに東日本大震災復興支援チャリティ講演会及び実 習会を行ってきた。

4 会 場 合 計、 受 講 者 1,497 名、 義 援 金 28,181,574 円が集まり被災された高校生のため の返済不要な奨学金(月2万円)の援助が行われる、

「まなべる基金」へ寄付された。末尾の単位までの決 済報告がなされていることは、実行委員長の山本 先 生の「受講生から集まったお金はびた一文崩したく ない」との思いからである。そんな思いに賛同して いただいた演者の先生方の交通費(国内、国外問わ ず)、宿泊費、懇親会などすべての諸経費は自前であ る。さらに自身の技術を惜しみなく発表していただ く講演費も無償である。さらにチャリティオークショ ンへの出品として、自作の補綴物サンプル、出版物、 芸術的な写真など、さまざまな思いのこもった出品 をいただくこともでき、ここから多くの義援金を集 めることもできた。これまでの4会場でのチャリティ 講演会及び実習会の成功により、寄付を行えたこと は、講演および実習会を行っていただいた演者なし では、成し得なかったことである。そして当然ながら、 講演に参加していただいた多くの聴講生の存在につ いてはいうまでもない。

次回の仙台にも、33 名もの大勢の講師をお願い したが、すべての方々が無償、交通費、宿泊費、す べて自前での講演を快諾してくださった。前回まで の講演および実習会をなされた先生方と参加してい ただいた多くの方々、そして今回の仙台大会での 33 名の演者の先生方には心から感謝、感謝を申し上げ ます。 全国の歯科技工士・歯科衛生士・歯科医師の皆さん、 4月 16 日と 17 日、仙台にお集まりください。参加しましょう!!チャリティに。歯科業界初の試みである、ひとり18分間のTED talksによる熱い講演を2日間で33題聴くことができるんですよ。「まなべる基金」への寄付で、基金を受ける高校生が強く生きて行く為の手助けができるんですよ。この チャリティ講演会に参加することで。さらに、4月 14 日と 15 日の2日間は、Willi Geller 氏による実際の患者さんのケースを制作する実習会も併設して 行われます。Geller マジックが体感できますよ。 参加された方々の心の中に、何かが芽生えるはず です。何かの力が自身にみなぎることを感じていた だけるはずです。参加する人、準備をしている人、 すべての人たちが「利他の心」で行っていることで すから。

 

  


第9回 山本 眞

 

 東日本大震災の翌年 2011 年に始めたチャリティ 講演会は、5回目になる最終回を被災地仙台で迎え ることになった。日本周辺における史上最大の巨大 地震による大津波ですべてが破壊し尽くされるのを 目の当たりにし、何かをしなくてはという衝動に駆 られて個人的な寄付を行ったが、その被害の甚大さ が明らかになるにつれ、個人レベルで行う支援の無 力さを痛感し、より多くの支援ができないかと片岡 繁雄氏をはじめ知己の仲間たちに声をかけて始めた のが、この東日本復興支援チャリティ講演会である。 私は阪神・淡路大震災の際にもチャリティ講演会 に参加した経験から、寄付に回せるお金をできるだ け増やすため、受講してくれる人たちが参加しやす いようにその近場(福岡・大阪・名古屋・東京)で 開催し、国内・国外を問わず演者には講師謝礼なし で、旅費・宿泊費に加え食事代さえ自己負担を強い、 関連業者の方々にも寄付や供出品を、各出版社の方々 には約1年間にもわたる講演会の広告を無償でお願 いし、可能なかぎり運営経費を減らすことを徹底し た。それは私個人の復興支援への思いであり、頼ま れた方々にとっては失礼きわまる暴挙だったに違いない。

しかし、実際に開催準備を始めたところ、だれ一 人として登壇を断る人はおらず、関連業者や出版社 の方々にも快諾のうえ強力な支援を戴き、みんなが 私と同じ思いでいたのを肌で感じ、今思い返しても 涙が流れ出る。 阪神・淡路大震災でのチャリティ講演会では約 1,500 万円を日本赤十字社へ寄付したが、それがど のように役立ったのかをまったく知る術もなく、何 かしら空虚感が残った。そのため今回は、使途や寄 付先が公開される「東日本大震災復興支援財団」の「ま なべる基金」に託すことにした。この基金は、被災 地では震災で家庭が経済的に困窮し、高校などへの 進学・修学を断念せざるを得ない高校生が多く見込 まれるため、これらの高校生に返済不要の奨学金を 支給することで学業継続を可能にし、あきらめずに 学ぶ意欲をもつ生徒達を支援する制度である。これ から高校に上がる中学生たち、学年が上がる高校生 たちの多感で思い出深いこの時期に、豊かな学校生 活を送れることは殊の外重要だと思ったからである。 そしてそれは必ずや被災地の復興にも寄与するもの と思っている。

これまでの4大都市での講演会では、できるだけ 多くの支援金を集めることに傾注したが、今回の被 災地仙台での講演会は違った意味合いをもつ。震災 から5年目に入ってまだまだ不十分ながらも復興は 進み、震災直後の緊急性よりも今後の東北地方の活 性化に役立って欲しいという思いである。このため 大都市圏でも開催が困難に相違ない、著名な 32 名 もの講師陣容で、しかも業界初の TED 方式により、 2日間にわたる日程で仙台講演会に臨む。なお仙台 講演会直前の2日間には Willi Geller 氏による 50名規模の実習会が行われる。これらは仙台大会長の 志田和浩氏や小田中康裕氏ら東京支部と東北支部実 行委員の方々のご尽力によるものである。 実行委員長としては、無論、全国から多くの受講 者に集まっていただきたいが、何よりも被災地の若 い人たちに参加していただきたい。このまたとない 機会に、最先端の素晴らしい演者たちのエッセンス を直接見聞きし、演者達と交流して、今後東北地方 が活性化する力の源となっていただければと願うば かりである。